体験談 暗いトンネルの先に

暗いトンネルの先に・・・   

 友の会会員 40代男性

 まぶたが頻繁に閉じてしまう病気で今も困っています。もう大分昔のことになりましたので、冷静に書けるようになりましたが、6年前に発病した当時は、どうしてまぶたが頻繁に閉じてしまうのか全く訳がわからず、いろいろな眼科の門をたたいて回ったものでした。冬の寒さ厳しいなか、「疲れ目のせいですよ」とか、「仕事の合間に休息をとるように」とか、有り難いアドバイスや目薬などはいただけましたがどうも自分で納得できませんでした。多少顔もゆがみ、なかなか治らないものだと困りながら街を歩いていると電信柱にゴンとぶつかったり、停車しているトラックに体当たりしたりと傍から見れば漫画のような出来事がいろいろありました。

 そんなある日、母が新聞の切り抜きでまぶたの病気に関する記事を見せてくれました。自己診断項目があり、結構自分の症状と合致する部分が多く、一筋の光明をみた思いでお茶の水の井上眼科病院を訪ねました。それでもすぐ治ると思っていたので、地元の小学校でPTA会長を引き受けることになりました。百周年の大きな行事があり、他になり手もいないので是非にとのことだったのですが、大勢の前でスピーチをする機会も多く、はやく目が良くなれと毎日必死でした。ともかく目があかないので不自由している訳ですが、人前で挨拶をして目をパッチりあけて笑顔をつくるという簡単なことが実に難事業でした。会合などでうっかり気を抜いているとまぶたが閉じていたらしく、「寝てちゃだめですよ」などと回りの人から横腹をつついてもらったりもしました。

 先生に診ていただいたところ、眼瞼けいれんと診断していただきました。痙攣するように頻繁にまぶたが閉じてしまう現象に対し、なるほどと自分自身で納得できる病名をいただいたことがものすごくうれしかったです。その後、目の周りにボトックス注射を打っていただきました。注射はトントントントンとあっという間でした。気分も楽になり症状は大幅に改善しました。この注射は対症療法でしかないということでしたが長いトンネルから抜け出た気分になれました。

 お陰様で、秋には百周年記念式典、大パレードが行われ、春には卒業式の挨拶を行いました。頑張って気合いをいれてスピーチをしましたので、子供達の心の琴線にふれたのか、卒業生のみならず5年生の児童達も大泣きの卒業式となりました。そうして自分の任期を無事に務めることができました。

 最近、ボランティアに参加させていただき、みんなで会報発送の仕事など楽しくしています。少しでもお役に立てれば幸いです。働きながら、会話しながら、お互いの症状を確かめ合いながら、楽しい時間となっています。 

最後になりましたが、井上眼科病院の皆様、眼瞼・顔面けいれん友の会の皆様に感謝申し上げます。この病気もきっといつか先生方の研究が進み、治ると信じております。

以上

 

 

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